理想のサッカー日本代表監督とは

理想のサッカー日本代表監督とは

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、理想のサッカー日本代表監督について考察します。

指導者の育成

日本サッカー界で課題として挙げられるものの1つに「監督の力量」がある。世界のサッカーの中心地であるヨーロッパで活躍している選手が多いにも関わらず、監督は少ないのが実情だ。もちろん、選手に比べて監督は絶対数が少ないため、活躍する難易度は高い。しかし、日本のサッカーがさらに高みを目指す上で、指導者の育成が重要なポイントとなるのは間違いない。

ここでは、日本代表の監督として理想的な人物は誰なのかを考えていきたい。日本代表で活躍した選手がヨーロッパで監督の経験をしてから、再び日本代表で指揮を執るのが理想ではあるものの、現実にそういった人はいないので別の5つの視点からアプローチしたい。

理想的な監督の条件

①日本と接点がある

日本サッカー協会の技術委員長等が、外国人監督を招く際に、良く挙げている条件だ。これは、Jリーグでの経験があったり、日本人選手と交流があったりすることを指している。歴代の日本代表監督だと元Jリーガーのジーコ氏や、ジェフ千葉での監督経験があったオシム氏が、この条件を満たしているということになる。

②ワールドカップに選手として出場した実績がある

歴代の日本代表監督だと、ジーコ氏・ファルカン氏・オシム氏・アギーレ氏・ハリルホジッチ氏の4名が当てはまる。日本人では、ワールドカップに出場経験のある選手が日本代表の監督を務めた経験はない。しかし、Jリーグの監督の中には、ワールドカップ経験者が増えてきている、そのため、この先選手としてワールドカップの経験がある日本人が、監督を務めることもあるだろう。

③ワールドカップに監督として出場した実績がある

オシム氏・アギーレ氏・ハリルホジッチ氏の3名が、ワールドカップに選手と監督として出場した経験がある状態で、日本代表の監督に就任した。トルシエ氏は1998年のワールドカップで南アフリカ代表の監督を務めた後に、日本代表の監督に就任している。ワールドカップでの経験が多いほどに、冷静に試合に臨めると考えられるため、監督としての実績は貴重なものだ。選手からしても、ワールドカップで指揮を執った経験がある監督がベンチに座っていると、非常に心強いだろう。

④監督としての実績がある

ワールドカップ以外での監督としての実績も、大事な条件となる。ワールドカップの場合は、4年に1度の大会であるため、経験がある監督は少ない。それに対して、クラブチームであれば大会の数も多い。監督選びをする際には、クラブチームでの実績にも目を向けるべきだ。歴代の日本代表の監督で、この条件に最も当てはまっていたのはザッケローニ氏だろう。イタリアでの20年以上の監督経験とタイトルを取った実績は、世界的に見てもトップクラスだ。そして、2000年以降の日本人監督は3名いるが、全員Jリーグでの優勝経験がある。当然のことではあるが、日本人のトップレベルの指導者が、日本代表の監督に就任しているのだ。

⑤アジアのサッカー界に詳しい

外国人監督を招く際に、ネックになるのがアジアのサッカー事情だ。ワールドカップのアジア予選は、他の大陸よりも移動距離が多いため、調整が難しい。気候や時差への適応だけではなく、ヨーロッパでは考えられないような、劣悪なスタジアムでの戦いも待っているのだ。そして、日本と対戦する多くのアジアのチームは守備を固めた戦いをしてくる。ワールドカップで格上のチームに勝つための準備を進めつつ、アジア予選では格下の相手を倒す戦術を考えるという、相反することを同時に行う必要があるのだ。この点で、外国人監督は苦労をするようだ。アジア予選は、審判のレベルも低いため、判定に激高する監督も多い。世界のトップレベルのサッカーを経験している人ほど、何かとストレスが溜まるのだろう。

分業制という選択肢

ここまで、日本代表の監督に求められる条件を5つの視点から考えてみたものの、すべてを兼ね備えている人はいない。特に、⑤の要素を備えている外国人監督は、なかなか見つからないのが現状だ。歴代の日本代表監督の中では、オシム氏が①~④、岡田氏が①と③~⑤を備えているものの、オシム氏は亡くなられており、岡田氏が再度監督を務めるのは考えにくい。少なくとも、新たに指導者を発掘・育成する意識がないと、日本のサッカー界は先細りしていくだろう。

そのため、この先の日本サッカー界を考えると、分業制が理想的だと言える。つまり、ヨーロッパでの実績がある監督を中心に、アジアに詳しい日本人スタッフが脇を固めるというチーム構成だ。これまでも、外国人監督の際には日本人スタッフがサポートしていたものの、さらに強化していく必要があるだろう。

そのうえで、①~⑤を高いレベルで兼ね備えている外国人監督について考えていきたい。

1.マルチェロ・リッピ(イタリア)

73歳であるため現実的ではないものの、監督としての実績は世界的に見ても群を抜いている。史上唯一クラブチームでも、イタリア代表監督としても世界一になった経験がある。2010年代には、中国のクラブチームと中国代表監督も経験しているため、アジア事情にも明るい。高額な年俸というネックはあっただろうが、もう10歳程若ければ日本代表の監督に最適な人材だっただろう。恐らく、過去には何度も日本サッカー協会がオファーを出していたはずだ。

2.アーセン・ヴェンゲル(フランス)

日本が初出場した1998年のワールドカップ後に、オファーを出していたものの、結局就任するには至らなかった。国の代表を率いた経験はないものの、クラブチームでの実績は充分であり、Jリーグで監督を務めていた時期もある。既に70歳を超えているため、現実的ではないものの、一度日本代表の監督をしている姿を見てみたかった。

3.ギド・ブッフバルト(ドイツ)

選手としてワールドカップで優勝しており、日本サッカーとの繋がりが強い人物でもある。日本の浦和レッズで選手として活躍しただけではなく、監督としてもJリーグ制覇の実績を残している。ヨーロッパでの監督経験は乏しいものの、日本代表でどのようなサッカーを展開するのかを見たい人物の1人だ。

4.ドラガン・ストイコビッチ(セルビア)

選手として8年間、監督として6年間、名古屋グランパスで活躍していた。ワールドカップに選手としては二度出場しており、ベストイレブンにも選出されている。2020年までの5年間は中国のクラブチームで監督をしており、アジアにも詳しい。現在は母国セルビアの監督をしているため、いずれ日本代表の監督に就任する可能性はあると考えられる。語学が堪能であり、日本語を流暢に話せる点も魅力的だ。

5.アンドレス・イニエスタ(スペイン)

ヴィッセル神戸でプレーする現役選手ではあるものの、引退をしてからも日本に残ってもらいたい。選手としての実績は突出しており、現在はアジアでの経験も積んでいる。監督としての力量は未知数ではあるものの、指導者としても日本での活躍を見たい人物だ。ヨーロッパで監督をしてから、日本代表の指揮を執ってもらいたい。

今後の指導者育成

日本サッカー界として、この先も日本人の指導者を育てる意識が大事なポイントとなる。現在の森保監督は、日本人指導者として高い実績を残している。アジアカップやオリンピックで優勝出来なかったとはいえ、このまま監督を続ければ安定した結果を残し続けるだろう。

そして、日本でもワールドカップやヨーロッパのクラブチームでの経験がある人物が、指導者になる時代を迎えている。たとえば、2002年のワールドカップでキャプテンを務めた宮本恒靖氏がガンバ大阪で監督としての実績を積み、現在は日本サッカー協会の理事を務めている。この先、選手として海外での経験を重ねた指導者が増えることは間違いない。①~⑤の条件を全て兼ね備えた、理想的なサッカー日本代表監督が誕生するのも、そう遠くないはずだ。