審判のすすめ

審判のすすめ

2023年12月19日

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、サッカーの審判について、気ままに考察します。

サッカーに欠かせない「視野の広さ」

サッカーの試合を見ていると、なぜここにパスをださないのか?等と感じることがあるが、そもそもテレビの映像と実際の選手の目線はまったく違う。テレビで映るような、観客席からの映像だとグラウンド全体が良く見えるものの、グラウンドに立ってみると選手の距離感がなかなかつかめないのが実情だ。

どこにボールを運べば良いのか判断するのが難しく、ミスに繋がることも多い。試合にでていない期間が続くと、この距離感をつかむのがますます難しくなり、悪循環におちいる。

「距離感をつかむ」ためには「視野の広さ」が必要になる。

視野の広さを身につけるためには、試合にでることが一番で、試合を想定した練習でも身につけることはできる。しかし、個人練習だけでは、視野の広さを身につけるのは難しい。

それでは、チームメイトを出し抜いて、自分だけが視野の広さを身につけるためには、どうすれば良いのか?1つの選択肢として、サッカーの審判をやってみることが挙げられる。個人的な経験談として、審判をやると、いくつかメリットがある。

審判をやるメリット①ルールのおさらい

まず、ルールのおさらいができる。長年サッカーをやっていても、細かい部分まではルールを把握していない選手がほとんどだ。

ましてや、ルールは多少変わっていくものなので、選手もアップデートする必要がある。実際に審判をやらなくても、講習会に参加したり、ルールブックを読んだりするだけでも、多くの学びがある。

審判をやるメリット②精神力の強化

次に、感情的にならなくなる。サッカーの試合中には暴言が飛び交うこともある。判定に不服のある選手が、審判に食って掛かっているシーンを見かけることもある。

実際に、中学生や高校生の試合でも、選手が審判に文句を言うシーンは多い。私の場合はチームメイトや相手選手から散々暴言を吐かれた。判定が間違っていたと言いがかりをつけられて、試合後に相手チームの監督に謝罪に行くように、自チームの監督から指示されたこともある。ほかにも、いろいろと嫌な経験を積み重ねたものだ。「できて当たり前、できないと非難される」のが審判だ。

しかし、何かとストレスを抱えることになるため、実生活ではあまりイライラしなくなる。もちろん、ストレスを感じる機会はあるものの、「審判に比べればましか」と考えられる。私の場合は、社会人になってからも、サッカーの試合の審判で味わったような巨大なストレスを感じたことはない。恐らく、今後もないだろう。

また、自分が選手として試合中に判定に疑問を感じた際にも、冷静に審判と話せるようになる。審判目線から、選手が感情的になっても、何もメリットはないと学べるからだ。

審判をやるメリット③視野が広がる

そして、視野が広くなるというメリットもある。試合中は、ボールの近くで審判をすることになるわけだが、周囲の状況にも目を配る必要がある。自然と、各チームの選手のポジションや動きを細かくチェックすることになる。ある程度、試合の流れを予測しないと試合の流れを判断できないため、サッカーを見る目が肥えるのだ。

また、試合中は当然審判も走っているため、「息が上がっている状態で判断する」というサッカーに欠かせない要素のトレーニングにもなる。選手ほどは体力的には苦しくないものの、精神的には選手よりも大変なため、試合を想定した良い経験になると考えられる。

以上の3点が審判をやることで得られるメリットだ。自分から好き好んで審判をやる人は、ほとんどいない。しかし、実際にやってみると「ルールの理解」「精神的強さの獲得」「広い視野」という強みを身につけられるのだ。

審判をやるメリット④敬意が生まれる

そのうえで、実際に何十回と審判を経験すると、何よりも審判への敬意が増す。一応、アマチュアの審判経験者である私は、サッカー選手よりも審判を尊敬している。

【収入面】

選手…数百名から数千名が選手としての収入だけで生活

審判…審判の報酬だけで生活しているのは数名

【コンディション調整】

選手…専門のコーチやトレーナーの指導

審判…ほかの仕事をしながら、空いている時間に自主トレーニング

【用具】

選手…チームやスポンサーから支給

審判…基本的に自分で準備

【サポーターとの関係性】

選手…良いプレーをすれば賞賛

審判…少しでもミスをしたらブーイング

このように、圧倒的に弱い立場に置かれているのが審判だ。日本では聞かないが、海外では試合の判定を巡って審判に暴力が振るわれるケースもある。誘拐や殺害といった事件も起きているのが実情だ。プロサッカーの試合では、審判も命がけで戦っていると言えるだろう。

いずれにしても、審判をやると多くの意味で視野が広がることに、間違いはない。私の場合は、サッカーだけではなく他競技の審判にも、敬意を抱くようになった。スポーツはルールあってのものであり、そのルールを司るのが審判だ。審判がいないと試合は成立しないという当たり前のことを頭に入れておくだけでも、試合を見る目が変わるだろう。