サッカーと地上波放送

サッカーと地上波放送

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、サッカーと地上波放送について、気ままに考察します。

地上波でのスポーツ中継の減少

女子ワールドカップで、日本が戦うグループリーグ3試合をNHKが放映することが決定した。正確な金額は不明だが、国際サッカー連盟が設定した高額の放映権料を支払うことになる。

今回の女子ワールドカップのケースに限らず、日本ではサッカーの試合を地上波で放送することが減っている。サッカーに限らず、プロ野球やほかのスポーツも放送も極端に少なくなっている。何十年も前から変わらずに放送しているスポーツは大相撲と高校野球くらいだろう。

サッカーの試合をあまり地上波で見なくなったのは、放映権の高騰と視聴率が上がらなくなったのが原因だと考えられる。日本が初めて出場した1998年のワールドカップフランス大会では6億円ほどだった放映権料が、前回の2022年カタール大会では約200億円まで跳ね上がっている。

前回大会ではabemaTVが全試合無料放送を行ったが、次回以降はどうなるか分からない。視聴率は30%ほどあるようだが、2002年の日韓大会の時には60%を超えていたことを考えると、人気が低迷しているという見方ができるだろう。恐らく、今後もサッカーを含むスポーツの試合が、ほとんど地上波では放送されないという状態が続くと考えられる。

地上波放送が減るデメリット

デメリットとして考えられるのは、いわゆるライト層と言われるようなファンの獲得が難しくなることだ。サッカーに興味はあるければ、そんなにお金をかけたくないという人にとって、地上波での放送は貴重なものだと言える。

ほとんどの人が地上波でサッカーの試合を見て興味を持ってから、実際にプレイヤーになったり、スタジアムに足を運んだりしたはずだ。ネット配信や有料の放送を見られる環境にない子どもにとって、サッカーを始めるきっかけを作りにくい状態になっている。

その一方で、コア層にとっては地上波での放送がなくても、ほとんど影響はないはずだ。普段から有料の配信を見ている人は、前回のワールドカップカタール大会でもネット配信を見ていたはずだ。実際に私も、解説の質や映像のクオリティに関しては、地上波よりも配信の方が上のような気がする。どうしても、地上波だと当たり障りのない発言が多くなる。

地上波が減ったことによる各スポーツへの影響

サッカーに限らず、日本でもメジャースポーツに関しては地上波での放送がなくなっても、あまり大きな影響はないようだ。

たとえば、ほとんどの野球の試合は地上波で放送されなくなっているが、人気は高いものがある。競技人口が減っていて、地上波での放送もなくなっているとはいえ、レベルは低下していないように見える。

スター選手は多く、観客動員数や選手の年俸に関しても、サッカーより野球の方が上だ。恐らく、高校野球を地上波で見て野球に興味を持った子どもが実際にプレーをして、そのままコアなファンになるというケースが多いのだろう。

また、格闘技の試合も地上波での放送が減って有料になっているとはいえ、格闘技人気は高いものがある。野球やサッカーと違って、1試合が数分で終わるケースが多く、SNSとの親和性が高い。格闘技と並行してYoutubeをやっている選手も多いため、SNSから格闘技に興味を持ったファンが、ネット配信を見ているのだろうと考えられる。

ライト層を獲得するために

それでは、地上波での放送が減っているサッカーが、ライト層にアプローチしてコアなファンを獲得するためにどうするべきなのか。

まずは、SNSの活用が必須になる。既に人気コンテンツになっているが、Jリーグや日本サッカー協会が試合のハイライト映像などの動画を配信している。Jリーグはアジアで一番レベルが高いリーグなので、多言語の字幕をつけられれば、さらに動画の影響力が大きくなるだろう。

そして、地上波で放送できる試合を大事に考えるべきだ。サッカーの試合があまり放送されなくなったのは、放映権料の高騰が原因なので、国内の試合はできる限り地上波で放送すべきだと言えるだろう。

特に、高校サッカーはJリーグが始まる前から地上波で放送されている大会なので、今後さらに発展してほしい。たとえば、アジア系の国から高校生の代表チームを招待するといったような、新たな取り組みも見てみたい。

女子サッカーも、できる限り地上波で放送するべきだ。2011年のワールドカップで優勝してから、日本の女子サッカーのレベルは飛躍的に上がっているにもかかわらず、あまり人気はでていない。選手個々のレベルは世界でもトップクラスではあるものの、待遇面は良くないと言えるだろう。

日本の女子スポーツの中で人気の高い、バレーボールやゴルフと比較すると、サッカーは一人一人の選手への注目度が低いように感じられる。日本では、ジャニーズや坂道グループのように「10代の頃から成長を見守る」という文化があるため、高校生の頃から、もっと選手にスポットライトを浴びせるというのも1つの方法だろう。

いずれにしても、今回の女子ワールドカップでグループリーグが地上波で放送されるのは、日本の女子サッカー界全体にとって良いことだ。ここを入り口にサッカーを始める子どもも多いはずだ。優勝を目指してほしいのはもちろんだが、2011年大会ではメディア対応が良くない選手を目にしたので、今回は試合以外のところでもサッカー人気向上に貢献してほしい。