日本でプロサッカー選手になる難易度

日本でプロサッカー選手になる難易度

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、日本でプロサッカー選手になる難易度を分析します。

日本のサッカー人口とは

日本でサッカーが人気スポーツであるというのは、ほとんどの日本人が同意してくれることだろう。特に、男性の場合は体育の授業や放課後にサッカーをした経験があるはずだ。「ワールドカップ」と聞けば、多くの人がラグビーやバレーボールではなく、サッカーを思い浮かべるだろう。漫画やゲームの世界でも、サッカーをテーマにした作品は多い。

ほとんどの人が体育の授業でのサッカー経験がある

それでは、実際のところ日本でのサッカー人口というのは、どれくらいなのだろうか。ここでは、競技をしている人にしぼって考えて、サッカーの数値化を試みたい。

参考にするデータは、日本サッカー協会のホームページだ。一年ごとに、サッカー人口の推移が、年齢別・性別で記載されている。日本サッカー協会が主催する大会(日本で行われている、ほぼすべてのサッカーの大会)には、選手登録証がないと参加できない。だいたいのチームでは、監督やコーチが一括で管理しているため、サッカー経験者であっても選手登録をした記憶がないという人も多いだろう。しかし、まず間違いなく小学生や中学生など、本格的にサッカーを始めた段階で登録されている。もっとも信頼できるデータと考えられるため、登録者数イコール競技人口で見ていきたい。

日本のサッカー人口の推移

日本サッカー協会のホームページを見ると、1980年では約30万人の競技人口が、2020年には75万人ほどになっている。ここだけを見ると急増しているように感じるものの、2012年から2015年は、90万人ほどであるため、最近になって減少していることが分かる。2002年のサッカーワールドカップ日韓大会を見てサッカーを始めた小学生が、10年ほど経て高校を卒業してサッカーを辞めた、と考えられる。

プロ選手になる難易度

日本サッカーでプロとなると、Jリーグが1部2部3部とあり、ここに所属している選手が該当する。3部リーグの選手だと、サッカーだけで生計を立てられない選手もいるものの、すべてを合計すると約1600人となる。ここに、海外クラブでプロとしてプレーする選手も加えて1700人としよう。75万人の内の1700人、割合で言うと約0.2%、約440人の内1人でプロになれる計算だ。1部リーグに限って見ると約560人であるため、割合で言うと0.07%、1340人の内1人がJリーグ1部でプレーしている計算となる。

ワールドカップに出場する難易度

それでは、サッカー選手にとっての最大の栄誉でもある、ワールドカップへの出場となるとどうだろうか?先に書いた75万人の競技人口は、だいたい10歳前後から30歳前後と考えられるため、1学年で4万人ほどがプレーしているとしよう。歴代のワールドカップ日本代表を見てみると、1学年でメンバー入りしているのは、3人から5人ほどである。0名の学年もあるため、数値化が難しいところがあるが、だいたい1万人に1人である。日本人がワールドカップのメンバー入りする確率は、0.01%ほどなのだ。東大の医学部の定員が100名ほどのようなので、ほとんど同じくらいの難易度と言えるだろう。

サッカー選手の年俸

ワールドカップのメンバー入りは別格としても、プロになる割合が約440人の内1人となると、予想していたよりも難易度が低いというイメージを抱いた。割と身近に、サッカー経験者であれば、知り合いの知り合いくらいにはプロがいると考えられる。実際に10年ほどサッカーをしていた私も、知り合いの知り合いくらいまで広げれば、面識はないが何人かプロサッカー選手がいる。

しかし、先述したようにJリーグの選手であっても、年俸には大幅な開きがある。2021年の年俸で見ると、トップはアンドレス・イニエスタで32億円。1億円を超えているのは20人ほどで、日本人最高年俸は酒井高徳の1億4000万円。Jリーグ1部の選手の平均年俸は、3,218万円だそうだ。プロ野球の平均年俸4,174万円に比べると低い水準ではあるものの、ほかのプロスポーツと比べると高収入と言えるだろう

これに対して、Jリーグ2部の選手の場合は、平均年俸が400万円とされている。ほとんどの選手が20代であるため、会社員よりは高い水準ではあるものの、1部リーグとの差は大きい。Jリーグ3部となると、当然さらに低い金額となるため、サッカーだけで生計を立てるのは難しい。ほとんどの選手がほかに仕事をしながら、競技生活を続けているのが現実のようだ。肩書がプロとはいえ、実態はアマチュアと変わらないと言えるだろう。

サッカーだけで生計を立てるのは難しい

サッカーで生きていく難しさ

1993年のJリーグ開幕以降、日本の各地にプロサッカーチームができて、選手も増えてきた歴史がある。逆に言うと、プロサッカー選手になるハードルは低くなっているのだ。しかし、サッカーだけで生計を立てるのは難しく、引退後に自己破産に陥る場合もあるようだ。

今後のサッカー人口

少子化と反比例するように増加してきた日本のサッカー人口は、この先少しずつ減少していくだろう。ただ、プロのチームは、あまり減らないはずだ。なぜなら、特にアジアでのJリーグ人気は高いものがあるため、日本人が減って外国人が増えるという構図になると考えられるからだ。日本の各都市にある、Jリーグの2部や3部のチームの半数以上が外国人、そんなチームも現れるだろう。つまり、日本のサッカー人口が減ったところで、プロになれる難易度は、それほど変わらないと考えられるのだ。