サッカー選手のゴールパフォーマンスについて

サッカー選手のゴールパフォーマンスについて

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、サッカー選手のゴールパフォーマンスについて、気ままに考察します。

高校球児のパフォーマンスについて

高校球児のパフォーマンスが話題になっている。WBCで日本代表が度々行っていたペッパーミルのパフォーマンスを高校球児が見せたことが問題視されているようだ。

サッカー経験者の私は、野球の細かいルールやマナーについてまったく分からないが、高校野球には独特の風習が残っているように感じる。たとえば、未だに全員が丸坊主のチームが大半だったり、ほぼ間違いなくアウトなのにヘッドスライディングをする選手が賞賛されていたりするのは、傍から見ているとちょっと異質に感じる。

今回のケースは、相手チームの選手のエラーによって出塁した際に、パフォーマンスを行ったようだ。個人的には、もし自分のエラーによって相手がパフォーマンスを行ったら、不愉快に感じると思う。

或いは、相手のエラーによって、自分のチームの選手がパフォーマンスを行っていても自分は乗らない。もしくはパフォーマンスを止めるように注意する。

パフォーマンスを行うこと自体は、まったく問題ないと思うが、相手を侮辱する行為は慎むべきだろう。もし、こちらに侮辱する意図がなかったとしても、パフォーマンスについて相手から抗議されたら、きちんと謝るべきだ。

しかし、野球界のパフォーマンスについては、正直なところ線引きがわからない。相手がエラーした際に、観客が拍手するのとペッパーミルパフォーマンスで盛り上がるのは、同じではないかという考えもあるだろう。日頃から、交流のあるチーム同士の対戦であれば、自分のエラーで相手が喜んでいても、笑って受け入れられるものかもしれない。

今回の高校野球のケースについては、味方がファインプレーをしたり、ホームランを打ったりした際に行っていれば、問題視されなかったはずだ。線引きは微妙なところではあるが、こちら側に侮辱する意図がなく、相手も煽られたという気分にならなければ、パフォーマンスはまったく問題にならないだろう。

結局は、選手同士がどのような感情になるかがポイントではあるものの、大前提として誤解を生むような仕草や言動は避けるべきだと言える。

サッカー界のパフォーマンス

それでは、サッカー界において、パフォーマンスはどのような位置づけになっているのか。まず、パフォーマンスの定義が難しいところだが、私はいわゆるガッツポーズやハイタッチは別ものとして考えている。

ここでは、「チームメイト何名かで、同時に何らかの動作を行うこと」をパフォーマンスの定義にする。たとえば、選手がゴールを決めた後に、個人で拳を突き上げたり、指輪にキスをするような仕草を見せたりすることがあるが、こういったものはパフォーマンスから外して考える。

サッカー日本代表のパフォーマンス

日本代表に限って言うと、私が初めてパフォーマンスを見たのは、2007年。U-20ワールドカップでのことになる。現在は解説者の内田篤人氏や槙野智章氏が主力選手として、ベスト16入りした大会だ。

日本代表は得点の後に、「力士の四股」や「ドラゴンボールのかめはめ波」、当時流行っていた「ビリーズブートキャンプ」のパフォーマンスを5~6名ほどで行っていた。私は、何の気なしに見ていたのだが、今回の高校野球のケースと同じく、当時も賛否両論があったことを覚えている。

否定的な考えとしては、野球解説者の高木豊氏がスポーツニュースの中で、このパフォーマンスについて「勝負というものを分かっていない」といった趣旨のコメントをしていた。

その一方で、好意的な意見としてはスポーツライターの金子達仁氏が「日本サッカーも新たなステージに入った」という内容のコラムを書いていた。

金子氏の考えとしては、パフォーマンスを行えるのは、試合で点を取るのを想定できているチームだけだというものだった。つまり、前日までにチームメイトでパフォーマンスについて話し合えるほどの余裕がないと、得点をした後にすぐにパフォーマンスを繰り出せないため、日本代表は成熟したという意見だった。

また、チーム内の雰囲気や選手同士の仲が良くないと、パフォーマンスを行うという発想にならないという理由から、当時のU-20日本代表を賞賛していた記憶がある。

当時の、私の意見としては賛成であり、今でも考えは変わっていない。U-20ワールドカップの後に、高校生でも得点後に「かめはめ波」のパフォーマンスを行うチームもあったが、問題視されたことはなかった。サッカー界では選手の誰かに子どもが生まれると、得点後にゆりかごパフォーマンスを行うのが定番だが、誰も文句は言わない。

問題視されたパフォーマンス

しかし、サッカー界でも問題視されるパフォーマンスがあるのも確かだ。たとえば、チームメイト複数名ではなく、個人で行ったものではあるが、得点後にナチス式の敬礼のポーズを取ったギリシャ代表の選手は、その後代表チームからの永久追放という処分になった。

韓国代表の選手が、日本相手にゴールを決めた後に、猿の真似で日本人を煽るジェスチャーを行ったこともある。韓国のケースでは、選手個人への処分はなかったが、韓国国内からも非難が起きたようだ。

どちらのケースも、パフォーマンスとして許容できるものではない。本来、得点後のパフォーマンスというのは、喜びを共有するものだ。大きな大会の場合は、地域や国の文化をアピールする方法の1つという位置づけでもある。たとえば、高校生の全国大会では、徳島県代表のチームが得点後に阿波踊りを披露するケースがある。

パフォーマンスに必要な配慮

これに対して、人種や国籍を差別するようなパフォーマンスは行うべきではない。実態として、サッカーの試合中には、相手を罵倒するような言葉が飛び交っている。中学生や高校生の試合でも、選手同士で罵り合っているような試合があり、実際に私も侮辱されるような発言を受けた経験が何度もある。

だからといって、ゴールパフォーマンスという形で、やり返すべきではない。試合中は試合そのものに集中すべきで、終わってから抗議すれば良いだけの話だ。サッカー界に限らず、スポーツの世界では、今後も様々な形のパフォーマンスが行われるだろう。周囲の人間が、あまり口出しするべきではないが、選手たちには相手を不快にさせないという最低限の配慮は忘れないでほしい。