世界トップクラスの日本サッカー

世界トップクラスの日本サッカー

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、日本サッカー界を多角的に掘り下げます。

女子サッカー

以前、「結局のところ、日本サッカーは強いのか?」という男子選手だけに限った考察を行い、「アジアの中では抜きんでていて、世界のトップではないが、30番~40番くらいの立ち位置」という結論に至った。今回は、男子選手以外についても考えてみたい。

まず、女子選手は間違いなく強く、世界でもトップクラスだ。2011年の女子ワールドカップで優勝しており、当時のキャプテン澤穂希はアジア人として初めて、世界最優秀選手賞に選ばれている。女子サッカーの場合は、男子とは異なりワールドカップよりオリンピックの方が高い価値があるとはいえ、優勝にふさわしいハイレベルなサッカーを展開していた。

それまでの女子サッカーは、身体能力が高い選手をフォワードとディフェンダーに起用して、スピードとパワーで押し切るチームが強かった。女子の場合は、アメリカやドイツが圧倒的な実績を残していた。これらのチームは、身長が180㎝、100m走12秒台くらいで走るような選手をそろえていた。

これに対して、日本は丁寧にバスを繋いで攻撃を組み立てるサッカーを展開した。身体能力で押し切られる場面はあったものの、日本は高い連動性を発揮していた。大げさな表現ではなく、女子サッカー界に革命を起こしたチームだ。現在の女子サッカーは、当時の日本代表の影響を受けて、テクニカルなサッカーを志向するチームが多い。競技人口が違うため単純に比較はできないが、国際大会での実績を見ると、男子より女子の方がはるかに高い水準にある。

審判

次に世界でもトップクラスと言えるのが、審判である。2014年のワールドカップでは、開幕戦のブラジル対クロアチアの審判団を日本人が務めた。ワールドカップでは主審が1名、副審2名、予備審判2名の計5名体制で行われる。

開催国のブラジルが登場する開幕戦は、この大会で決勝と同じくらい緊張感のある試合だっただろうが、主審と副審を日本人が担当した。主審の西村雄一氏が、毅然とした態度でブラジルのエース・ネイマールにイエローカードを提示したシーンは、同じ日本人として勝手に誇らしく思ったものである。西村氏は、2010年のワールドカップでは、決勝戦の予備審判を務めてもいる。サッカーの審判の世界では、日本人の勤勉さや真面目な仕事ぶりが、高く評価されているようだ。

トレーナー

審判と同じように、トップレベルにいるのが日本人トレーナーだ。世界トップクラスの名門チーム・イタリアのACミランでは、1990年代後半から20年間ほど、日本人の遠藤友則氏が専属トレーナーを務めていた。この時期にACミランは、世界最高峰の大会ヨーロッパチャンピオンズリーグを2度制覇している。ほかには、中田英寿の専属トレーナーでもあった山本孝浩氏は、イタリア代表専属スタッフとして国際大会に帯同している。

通常、その国のトレーナーが帯同することを考えると、いかに日本トレーナーの評価が高いかが分かる。実際に日本人サッカー選手は、ヨーロッパのチームに移籍すると、トレーナーの質の低さに驚くようだ。日本人の繊細な部分が、サッカーのトレーナーに向いているのだろう。

環境面

そして、サッカーを楽しむ環境でも、日本はトップクラスと言われている。島国である以上、外国のチームとの対戦が難しいというハンディはあるものの、サッカーを楽しみやすい国だと言えるだろう。なぜなら、ほとんどの街にサッカーゴールやボールがあるからだ。日本の場合は、小学校や中学校にサッカーゴールがある場合が多い。これは、世界的に見れば稀有なパターンであり、サッカーに親しみやすい環境が整っているのだ。体育の授業を含めれば、恐らくほとんどの日本人がサッカーをした経験があるはずだ。

さらに、日本には世界一安全と言われているスタジアムがある。Jリーグの試合で使用される各スタジアムの中には、臨場感にかける陸上競技場があるとはいえ、安心して観戦できるのは確かだ。発煙筒がたかれたり、暴動の鎮圧に警察が催涙弾を放ったりということが、日本の場合はない。子供や高齢者でも、純粋にサッカーの試合を楽しめるスタジアムが、日本には各都道府県にある。つまり、ほとんどの日本人が気楽にプロサッカーの試合を楽しめる環境が整備されているのだ。

200ヶ国以上で親しまれているサッカーで、世界のトップクラスに進出するというのは、並大抵のことではない。単にお金をかければ何とかなる訳ではないのは、ここ20年ほどの中国が証明している。しかし、日本では女子・審判・トレーナー・環境は、トップレベルにある。課題も多くあるとはいえ、広い視野で考えた時、現在の日本のサッカーは強いと言えるのだ。