2022年ワールドカップ 日本代表はどう戦うか?

2022年ワールドカップ 日本代表はどう戦うか?

2022年5月6日

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、残り半年ほどで開催される次のワールドカップカタール大会について、気ままに考察します。

今大会の特徴

2022年11月21日に開幕するサッカーワールドカップ。今大会の特徴としては11月に開催されることが挙げられる。

これまでのワールドカップは6月~7月に開催されていた。ヨーロッパの各国リーグのオフシーズンに当たる時期に、国別の対抗戦であるワールドカップを開催していたのである。そのため、日本を含む各国代表の主力選手はシーズン終わりの疲労が蓄積されている時期に、ワールドカップという舞台に立っていた。

しかし、今大会は6~7月の平均気温が40度に達する中東のカタールで開催されるということもあり、開催時期を11月に変更したのである。過去のワールドカップを振り返ってみても、日本やアメリカといった6~7月の平均気温が30度前後の地域での大会は、選手の運動量が少なく凡戦が多くなっていた。反対に、6~7月の平均気温が20度前後のブラジルやロシアで開催されたワールドカップは、選手のコンディションも良く、レベルの高い試合が繰り広げられていた。涼しい時期での開催が適しているのは、間違いない。

今大会の開催地であるカタールは、11月の平均気温が25度前後であり、選手からすると動きやすい条件だと言える。さらに、今大会はヨーロッパリーグがシーズン中の開催であり、選手のコンディションは問題ないと考えられる。開催地の気温や選手の体調面だけを見ると、今大会が史上最高のワールドカップになる可能性が高い。

日本の対戦国

日本が振り分けられたグループEには、優勝経験があるドイツとスペインがいる。もう1ヶ国はプレーオフの結果待ちではあるが、恐らくコスタリカになるだろう。いわゆる「死の組」とまでは言えないものの、グループリーグ突破は相当難しい状況だ。全8グループ中もっともハイレベルなグループに振り分けられたと言える。特に、11/23に行われる初戦のドイツ戦は、日本代表史上最大の挑戦となる。ここからは、ドイツが手ごわい理由を改めて考察したい。

ドイツが手ごわい理由

1 歴史がある

ドイツ代表は第二次世界大戦前からワールドカップ常連の国であり、1954年大会以降17回連続で出場している。優勝・準優勝ともに4回ずつ、ベスト4以上も4回と「17大会中12大会でベスト4以上」という驚異的な実績を残している。優勝回数4回は5回のブラジルには及ばないものの、ワールドカップで残している結果の平均値がもっとも高いのがドイツ代表だ。

2 国内リーグのレベルが高い

日本人がもっとも多くプレーしているのがドイツであり、香川真司や内田篤人が移籍した2010年頃から現在に至るまで、常時10名ほどが1部リーグでプレーしている。ドイツリーグ・ブンデスリーガの特徴としては、外国人を無制限に獲得できる点と、寒い地域が多いからか南米出身の選手が少ないことが挙げられる。

アジア系の選手を受け入れる土壌もあり、頻繫に選手の移籍が行われている。9年連続で優勝しているバイエルン・ミュンヘンは別格として、ほかのチームのレベルも高い。リーグ全体での観客動員数は世界一であり、年間を通して緊張感のあるハイレベルな試合が繰り広げられている。ドイツ代表に選ばれるような選手は、10代の頃からこのような厳しい環境で経験を積み重ねているのだ。

3 2022年大会にかける意気込みが半端ない

ドイツ代表は、恐らく史上もっとも気合いを入れて、2022年大会に乗り込んでくる。なぜなら、前回の2018年大会で、初めてグループリーグで敗退をしているからだ。2014年は優勝の勢いそのままに、ヨーロッパ予選も圧勝してきていたため、ほとんどの人が予想できなかった敗戦と言えるだろう。

初戦のメキシコに負けて、2戦目のスウェーデンには勝ったものの、3戦目の韓国に敗戦。ドイツ国内では「史上最大の恥」と批判されていたようだが、今大会はドイツにとっては、前回大会の雪辱を果たす大会という位置づけとなる。ましてや、今大会の初戦で対戦するのは韓国と同じ東アジアに位置する日本である。日本人からすると、ポーランド人とドイツ人の違いがあまり分からないのと同じように、ヨーロッパの人からすると日本人と韓国人の区別は、ほとんどつかないようだ。2002年の日韓ワールドカップの際に、ヨーロッパの記者の中には、日本と韓国は陸続きで新幹線や車で移動できると思っている人もいたそうだ。

ドイツは前回大会では初戦でメキシコに負けたことが、グループリーグ敗退の大きな要因となっている。メキシコと日本は、小柄でテクニカルな選手が多く組織的なサッカーを志向しているスタイルや戦術が似ているチームだ。ドイツからすると、前回大会のメキシコ戦と韓国戦の敗戦という苦々しい記憶を払拭するために、もっとも適した対戦国が日本だと言えるだろう。

いずれにしても、日本にとってドイツ代表が格上で手強い相手であることに、間違いはない。通常、ドイツ代表のような優勝候補のチームはコンディションのピークを大会の終盤に持ってくるが、今大会はグループリーグの初戦からフルパワーでくる可能性もある。前回大会のリベンジに燃えているだけではなく、先述したようにシーズンの途中でのワールドカップであるため、ほとんどの選手のコンディションが良いと考えられるからだ。

日本の戦い方

それでは、日本代表はどのようにして戦うべきなのだろうか。まず、今大会に臨む日本代表のレベルは、史上最強と言えるレベルにある。ヨーロッパで活躍している選手が各ポジションにそろっており、チームとして大崩れすることはないだろう。アジア予選では、少なからず苦戦していたものの、地力は間違いなくアジアナンバーワンだ。

しかし、ベストコンディションのドイツには勝つのは相当難しい。前回大会のドイツ対韓国の場合は、ドイツが勝たないとグループリーグ敗退の状況になり、リスクを負って攻めにでたところで韓国が2点を取ったという試合展開だった。今大会の日本が対戦するドイツは、初戦なので無理に攻めてくることはないだろう。さらに、前回大会でドイツは初戦でメキシコに負けているため、今大会の初戦の日本戦は、相当慎重に試合に入ってくると考えられる。

1 まずは守備から

そこで、日本としては無理をせずに前半は守備に徹してほしい。特に、ドイツは大柄な選手が多いため、コーナーキックやフリーキックを与えないように注意したい。ドイツとしては、格下の日本相手に早めに点を取って、余裕のある試合展開に持っていきたいはずだ。日本が打ち合いにでていくと、簡単にいなされて失点を重ねる可能性がある。ドイツに先制点を奪われたら、逆転はほぼ不可能と考えておくべきだろう。

具体的には、相手選手の高さに対応するため、日本もセンターバック以外にもハイボールの対応がうまい選手をそろえておくべきだ。中山雄太、遠藤航、板倉滉といった選手をディフェンスラインや中盤の守備的なポジションに置いておきたい。あるいは、センターフォワードに高さのある上田綺世を起用して、セットプレーの際の守備力を高めておくのも効果的な方法だろう。日本は、前回大会のベルギー戦で、3失点中2失点は相手にヘディングで競り負けての失点であった。今大会は、前回大会の反省を活かして、守備の部分に安定感のある布陣で試合に入ってほしい。

2 後半はスピード勝負

ドイツ代表は大柄な選手が多く、日本人が真っ向勝負を仕掛けると、ほとんどの選手が負けてしまうだろう。しかし、ブンデスリーガでの日本人の活躍を見る限り、ドイツ人は日本人よりも敏捷性では劣る。足が長いドイツ人からすると、細かくステップを踏む日本人は、掴まえどころが見つけにくい存在だろう。ファウルのリスクもあるため、大型な選手は小柄な選手に、あまり強くタックルを仕掛けられない傾向もある。

そのため、日本は後半から敏捷性に優れた選手を次々と投入してほしい。伊東純也、浅野拓磨、三苫薫といったヨーロッパでの実績もある選手のスピードを生かすサッカーに転じれば、いくつかチャンスは作れるはずだ。

3 先制点を取れたら守る

もし、日本が先制点を奪ったら、無理に2点目は狙わずに守備に徹してほしい。前回大会のベルギー戦では、先制点の直後に2点目が入り、3点目を狙いにいったところで、一気に攻め込まれてしまった。今大会は、日本の成長を示すためにも、1点をしっかりと守り切る戦いを見たい。参考にしたいのは、前回大会初戦でドイツを倒したメキシコだ。

4 メキシコを参考に

メキシコは、前半に先制点を取ってからは、無理に攻め込まなかった。試合の終盤残り20分頃になってからは、当時39歳のベテラン選手マルケスを投入して守備固め。チーム全体を落ち着かせられる経験豊富なマルケスを投入したからこそ、メキシコはドイツの猛攻に耐えられたのだ。彼のような存在は、今の日本代表にはいない。

しかし、既に代表引退を表明している長谷場誠を呼び戻せれば、前回大会のマルケスのような活躍が期待できる。前回のワールドカップでは、マルケスが試合途中からキャプテンマークを巻き、5回目のワールドカップ出場となった。もし、長谷場誠がカタールワールドカップに出場すれば、4回目の出場となる。ドイツ・ブンデスリーガで10年以上活躍している長谷場誠ほど、今の日本代表に必要な選手はいないのではないだろうか。