ワールドカップカタール大会総括

ワールドカップカタール大会総括

こんにちは。

サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。

今回は、終了したばかりの2022年ワールドカップカタール大会について総括します。

2022年のワールドカップカタール大会は、アルゼンチンの優勝で幕を閉じた。中東開催・冬季での大会実施等々、何かと初めての試みが多かった今大会において、日本はベスト4入りしたモロッコと並んで、前評判を大きく覆したチームと言える。今回は、個人的に感じた今大会の良かった点と改善すべき点をまとめたい。

全体を通して

今大会で、日本はベスト8入りを目指していたため、目標は達成できなかったということになる。しかし、ワールドカップで優勝経験のあるスペインとドイツに逆転勝ちをするというのは、ベスト8入りよりも遥かに難易度が高い。

最終的にFIFA(国際サッカー連盟)が発表した順位でも、日本はベスト16敗退のチームの中で最上位である9位だった。ベスト8まで、文字通りもう一歩のところまで進んだのだ。

良かった点①守備的な入り方をした

ドイツやスペインといった強国に対して、日本はしっかりと守備組織を整えて対抗した。2010年南アフリカ大会でも、日本は守備的な戦いを展開してグループリーグを突破したが、今回は相手のレベルが違う。

さらに、2010年大会と比べて、今回は前線から積極的にプレスを仕掛けていた。守備意識を高く保ちながらも、攻撃的な姿勢でボールを奪う姿勢を見せていたと言えるだろう。

良かった点②早めに交代選手を投入した

今大会の日本代表は、1対1の勝負に強い冨安や遠藤を途中から投入して、守備を安定させるという戦術をとっていた。切り札の三笘や堂安がベンチに控えていたというのも、先発メンバーからしたら安心感があったはずだ。

森保監督はバスケやフットサルの戦術も参考にしていたようだが、サッカーの試合において選手交代でここまで流れが変わることは珍しい。グループリーグを首位で通過できた最大の要因は、交代枠が3名から5名に増えたことを最大限に活用したからだと言える。

良かった点③多くの選手を起用した

初戦のドイツ戦と2戦目のコスタリカ戦で、大幅にメンバーを変更した点も、これまでの日本になかった画期的な取り組みだった。2018年ロシア大会の第3戦ポーランド戦でも、大幅にメンバーを変えていたとはいえ、今回の方が選手を変える難易度は高かったはずだ。

なぜなら、通常よりも短い、中3日のスケジュールで試合が組まれていたからだ。試合の翌日はリカバリーのメニューになることを考えると、1~2日程度で細かい戦術練習を行っていたのだろう。

コスタリカ戦は、これまでに日本が戦ったすべてのワールドカップの試合の中でも、指折りの低調な試合だった。しかし、結果的にここで何名かの選手を休ませられた点が、スペイン戦での勝利に繋がったように考えられる。

改善すべき点①ヘディングでの失点

このブログでも以前に触れたが日本は空中戦での失点が多い。スペイン戦、クロアチア戦共にヘディングで失点をしている。

今回の日本は空中戦に強い選手をディフェンスラインにそろえていたものの、どちらの試合も単純にマークが外れてしまっての失点だった。圧倒的な高さに適わずに失点したわけではないため、戦術的な修正をすれば防げたのではないかと思ってしまう。

改善すべき点②セットプレーでの得点

クロアチア戦は、コーナーキックから得点をしたとはいえ、ベスト8に入るためには、PKも含めもっとセットプレーからの得点を増やす必要があるだろう。たとえば、中村俊輔や遠藤保仁といった、セットプレーのレジェンドを呼んで、チーム全体の引き出しを増やしておくべきだ。

サッカーの試合内容以外で改善すべき点①渋谷の映像

サッカーのワールドカップやアジア予選がある度に、試合直後の渋谷のスクランブル交差点の映像がテレビにでるが、もうあれは映さなくていいだろう。私はすぐにチャンネルを変えているが、そもそも交差点は人が喜びを爆発させる場所ではない。

子どもに悪影響があるだけではなく、単純に盛り上がりたい人が渋谷に集まっているだけなので、通勤や通学で渋谷を利用している人にとって良い迷惑にもなっているだろう。テレビで流れなくなれば、ただの目立ちたがり屋はいなくなるはずだ。

そして、試合前日の記者会見あたりで、日本代表の監督やキャプテンには「渋谷のスクランブル交差点には集まらないでください」と発言してほしい。

そのうえで、たとえば国立競技場等の大型施設を日本サッカー協会が貸し切って、大型のパブリックビューイング会場にすれば、サッカーファン以外に迷惑をかけない形で盛り上がりたい人には盛り上がってもらえる。

サッカーの試合内容以外で改善すべき点②解説者の役割

テレビでワールドカップ関連のニュースを取り上げるのは良いのだが、選手とその家族や恩師との絆や選手のプライベートといった部分は、サッカーそのものを楽しみたい私からすると、割とどうでも良い話になってくる。解説者も「感動をありがとう」ではなく、もっと戦術的な解説をしてほしい。

また、ワールドカップをきっかけにサッカーを見始めた人を意識して報道をするべきではないか。

たとえば、スタジオにプロの審判を呼んで、何かファウルが起きた場合にルールについて解説してもらうと、より観戦しやすくなるだろう。試合前に、スタジオで延々と「非常に大事な戦い」「応援しましょう」と連呼するのも良いが、オフサイドやイエローカードとレッドカードの基準について等、事前に説明してもらえる時間に充ててほしい。

次のワールドカップに向けて

今大会の日本は、これまでにない結果を残したとはいえ、日本サッカー協会が掲げる「2050年までにワールドカップで優勝」までの道のりは遠い。しかし、今大会の主力の半数程度は次回大会でも年齢のピークを迎えないため、前途は明るいものがある。

だからこそ、「感動をありがとう」で終わらせるのではなく、監督の人選も含めて今大会を冷静に検証するべきだ。